「運用監視業務」とは具体的にどのような仕事なのか?
ネットワークやサーバー関連の業務において、「運用監視業務」は必須です。システムに関わる人間であれば、誰しも必ず耳にしたことがある言葉でしょう。しかし、実際に携わったことがないと、具体的にどのような仕事を指すのか、ぼんやりとしかわからないことも多いかと思います。
そこで本稿では、「運用監視業務」とは具体的にどのような仕事なのかを簡単にご紹介いたします。
運用業務は「使える状態を維持する」のが仕事
「運用」という言葉は辞書によると、「そのもののもつ機能を生かして用いること。活用。」とあります。つまり、運用業務の基本は、ネットワークやサーバーの持つ機能を生かして用いる、活用する業務ということになります。
実はその名の通りで、運用業務はネットワークやサーバーなどを「使える」ようにしておく業務です。
実際に「使う」のはエンドユーザなので、つまりはネットワークやサーバーを止めないことが基本です。
このためには、具体的には以下のような仕事が発生します。
サーバーの起動や停止
24時間365日稼働が理想ですが、なかなかそこまで頑強なサーバーを構築するのは困難です。そこで定期的に計画停止し、メンテナンスを行って再度起動する、といった作業が必要になります。また、不慮の不具合などでサーバーがダウンした場合は、状況の確認を行い、可能な限り速やかにサーバーを起動しなければなりません。
ネットワークの点検
ルータなどのネットワーク機器が正常に動作しているか、アラートランプが点灯していないかなどを点検するのも、運用業務の重要な仕事です。これはサーバーに関しても同様です。
定期的なバックアップ取得
サーバーそのものや、その上で動作するアプリケーションに不測のトラブルが生じた場合、速やかにトラブルの直前の状態に戻せるよう、定期的なバックアップを取得する仕事です。
修正プログラムの適用
サーバーのOSやミドルウェアに修正プログラムが公開された場合、適用する仕事です。特にセキュリティ関連の修正プログラムは速やかに適用する必要があります。
監視業務は「正常に動いているかを監視する」のが仕事
監視業務は、ネットワークやサーバーが正常に動作しているかどうかを見守る仕事です。
以前は、ネットワークやサーバーの監視端末を定期的にチェックする必要がありましたが、最近では監視ソフトが優秀になり、何かトラブルが発生した時には、監視担当者にメールで通知することもできるようになりました。
ネットワークの場合は、回線ダウンが生じていないかどうかを監視ソフトでチェックする作業になります。これも張り付きっぱなしで監視するのではなく、定期的にチェックするのが基本です(不慮の事態の場合、通知メールが送られてくるのが普通です)。
また、サーバーの場合は、ハードディスクの残容量やバックアップの状態、CPU使用量やメモリの使用状況などを定期的にチェックします。通常は日次や、サーバーがもっとも多忙になる時間に行います。さらに、セキュリティ関連では、定期的にログ分析ソフトを使って、怪しい動きやアクセスがないかをチェックします。
未経験者や新人が割り振られることが多い理由
一般的に、運用監視業務、特に運用業務には未経験者や新人が割り振られることが多いものです。
これにはきちんとした理由があります。
第一に、運用業務、監視業務は定型化しやすいという特徴があります。毎日、同じことを正確に繰り返す必要があるため、マニュアルを作成しやすく、その通りに仕事をすることが求められます。逆にいえば、未経験者や新人でも、マニュアルがしっかりしていれば十分に仕事ができるというわけです。
ただし、トラブル対応はベテランでなければ難しいので、トラブルをフォローする体制は必須です。
次に、運用監視業務に携わると、社内のシステム構成、つまり裏舞台を理解できるというメリットが挙げられます。いきなりシステムを使うだけのエンドユーザになるよりも、運用監視業務を経験して裏舞台を知っておいた方が、さまざまな局面で応用が効きます。何より、自分の要求が無茶な話なのか、現実味がある話なのかの判断ができます。こうした点でも、未経験者や新人は、一度、運用監視業務を経験しておいた方がスキルアップできるわけです。
問題発生時に担当者が対応する範囲は現場によって様々
監視業務で問題を発見した場合や運用業務でトラブルが発生した場合、担当者がどこまで対応するかは現場によって異なります。よく訓練された担当者をあててトラブル対応までを迅速に行える体制を組んでいる場合もあれば、先程の未経験者や新人にルーチンワークをまかせ、いざというときはベテラン部隊が支援するという体制もあります。
内容によって、トラブルへの対応方法は千差万別です。目標はシステムの復帰なのですが、それに至るまでの過程が異なります。場合によっては利用者への通知や注意喚起、関連部署への連絡が必要な場合もあります。問題解決までに時間がかかりそうな場合は、代替手段や冗長系への切り替えといった、高度な判断が必要な場合もあります。
一ついえるのは、運用監視業務を行っている以上、トラブル発生は「有り得る」ことであるという前提で体制を組む必要があるということです。
それが明確であれば、担当者が対応する範囲もおのずと決まるでしょう。
運用監視業務は企業システムの重要な裏方
運用監視業務は地味で目立ちにくく、その重要性も中々理解してもらえないものです。
しかし、この業務がなければ、社内システムはあっというまに立ち行かなくなるでしょう。それほど重要な業務です。
本稿を通じて、運用監視業務の理解を少しでも深めていただければ幸いです。