デジタルトランスフォーメーションとは?その事例と今後の展望を考える
最近、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉をよく耳にするようになりました。 当たり前のように使われていて、なんとなくウンウンとうなずいてはいるのですが、その実、何を意味するのか深く理解するのは難しく、なんとなくふわっとした言葉ですよね。 そこで今回は、デジタルトランスフォーメーションに焦点を当て、その意味と事例、今後の発展性について解説していきます。
デジタルトランスフォーメーションとは?
デジタルトランスフォーメーションとは、ひとことで言うと、「IT技術の利活用により、社会環境や経営環境をより良くしていく」ということです。「あれ?それって今でも取り組んでいることでは?」と思われた方は鋭いです。要は、今どんどん出現している新しいIT技術をより活用することによって、イノベーション(変革)が起きていくということを表しています。
よく例えられるのが産業革命です。産業革命によるスチームイノベーションは世界中の社会構造さえ変えてしまうものでした。それまでの単純労働は機械にとって変わられ、蒸気機関を利用した移動手段は、世界を飛躍的に狭くしました。これと同じことがIT(デジタル)の力で起きるのではないか、というのがデジタルトランスフォーメーションです。
とはいっても、デジタルトランスフォーメーションという言葉の明確な定義はありません。よくいわれるのは、SMACSと略される基幹技術です。SMACSとは、Social(ソーシャル)、Mobile(モバイル)、Analytics(アナリティクス)、Cloud(クラウド)、Sensor(センサー)のことで、いずれも最近なにかと話題になっている技術です。これらを組み合わせることで、これまでになかったまったく新しいサービスが登場するのではないか、というのがデジタルトランスフォーメーションです。
デジタルトランスフォーメーションのわかりやすい例が、IoTです。IoTはInternet of Thingsの略で、「モノのインターネット」と言われます。これまでインターネットに接続されていなかったものを接続して、その存在意義を180度変えてしまうほどの変革が期待される分野です。先ほどのSMACSで言うと、Mobile、Cloud、SensorがIoTに関連しています。
デジタルトランスフォーメーション事例
しかし、デジタルトランスフォーメーションという言葉はどこかふわっとしていて、バズワード(ただの流行語)っぽく感じられるでしょう。ですので、デジタルトランスフォーメーションと考えられる事例をいくつかご紹介します。
誰もが知っている例としては、Amazon.comの成功が挙げられるでしょう。 Amazon.comは、始めは書籍の通販サイトとして立ち上がりましたが、取り扱う商品の種類を爆発的に増やし、ネットショッピングだけでなく、小売業界の構造改革を迫るまでに成長しました。Amazon.comの成功で、地方のCDショップや書店、ゲームショップは軒並み倒産したといえるでしょう。産業構造にイノベーションを与えた好例がAmazon.comです。
次に、Uberという配車サービスの成功が事例として挙げられます。 日本では今ひとつメジャーでないのでご存じないかたも多いかと思いますが、世界的には急速にシェアを延ばしており、アメリカのサンフランシスコでは、Uberの普及でタクシー会社イエローキャブ協同組合が倒産するほどの影響を与えています。Uberは、利用者がスマホアプリを起動すると、利用者に最も近いUberドライバーのスマホにその位置情報が送信され、マッチングされる仕組みです。日本では法律上タクシー会社しか対応できませんが、いわゆる白タクが許可されている国では、一般のドライバーがタクシーのように移動を請け負い、その普及は加速度的に増えています。日本のように法律でタクシーが守られていない国では、タクシーという制度が崩壊しかねない勢いです。
デジタルトランスフォーメーションの今後
デジタルトランスフォーメーションを構成する技術SMACSは、現在も年々進化を遂げており、今後も信じられないようなことができるようになるでしょう。IoTだけを例に考えても、Mobile+Cloud+Sensorで、できることの可能性は無限大です。そして、デジタルトランスフォーメーションのある種恐ろしいところは、既存のスキームを破壊してしまう威力があるところです。先ほどのAmazon.comの成功例では、CDショップやゲームショップ、書店といった小売店が商売として成り立たなくなりました。またUberの成功例では、タクシーが危機に瀕しています。
今後も、新たなデジタルトランスフォーメーションの登場で、既存スキームの破壊が起きていく可能性は十分あります。人が便利を追求していく以上、この流れは避けられないものなのかもしれません。